また、「#比例は共産党」と訴えるビデオをSNSで拡散。「昭和のCMかよ」と思わせるような簡単な作りながら、訴えがストレートなのでわかりやすく、手作り感も相まって好感を持たせるものになっていた。

選挙用の特設サイトのデザインも、原色を多用した「いつもの感じ」で、若者も違和感無く入って来られるように工夫をしていた。さすが若者との親和性の高さを強調して、ターゲットを上手に明確化している。ネット戦略においても、自分たちのやりたいこと、やるべきことが分かっている政党と言えるだろう。

「インスタ映え」しなかった希望の党

今回の選挙で、一番残念だったのが希望の党だ。発足当初には政権交代の可能性すら感じさせ、連日テレビや新聞がその動きを報じていた。しかし、完全に尻すぼみ。ウェブサイトの立ち上げは遅く、候補者一覧が掲載されたのも公示日から何日も遅れるありさまだった。共産党と反対で、やりたいことも、やるべきこともわかっていなかった。

ネットの大きなメリットは共時性だ。特に見る側はネットの情報に速報性を期待している。そのため発信側も当たり前のように速さを競っている。その感覚が、希望の党には見られなかった。

政党の広報がSNSをどう理解しているかは、インスタグラムを見るとよく分かる。先程、自民党はSNSの使い方をよくわかっていると書いた。なぜなら自民党は、インスタグラムにおいても、ユーザーに好まれる「写真・映像の質の高さ」を理解し、レベルの高いものを投稿している。比べて、希望の党の投稿は相対的に質の低いものだった。言うなれば、「インスタ映え」しないのだ。

希望の党公式インスタグラムで公開された小池代表の電車内の様子

どういうことかといえば、インスタグラムのユーザーは、候補者の演説風景や街頭演説の告知パネルだけ見たいわけではない。なかには小池百合子代表の食事場面や移動中に撮影したメッセージもあった。ただ、それはツイッターでもできることだろう。何よりも「映え」が大切なインスタグラムの素材としてふさわしいとはいえない。

小池代表の遊説の動画をまとめたものもあったが、残念ながら完成度は自民党にはるかに及ばない。小池代表の演説力に自信があったのかもしれないが、自民党が安倍総裁の主張をいかにシャープに見せるか、編集に力を入れていたのとは大違いだった。