ロシア政府はヒラリー追い落とし工作を「国策」に?
アメリカとロシアの関係は、オバマ政権下ではぎくしゃくしていました。ロシアのウラジミール・プーチン大統領としては、次の大統領は少しでも親ロ的な人物になってほしいという強い願望があったのでしょう。
ヒラリー氏は、夫君ビル・クリントン大統領の事実上のアドバイザーとして、ファーストレディや上院議員、国務長官を経験し、ロシアの実情にも精通している政治家です。しかも対ロ政策では現実主義的強硬論者です。ロシアとしては、ヒラリー氏が大統領になったらやりづらいはずです。
それならロシアとはビジネスを通じて多くのロシア人と交友関係にあるトランプ氏に大統領になってもらいたいと、考えても不思議ではありません。そこで大統領選ではちょっかいをだそうとしたのでしょう。いわば国策としてです。
「ロシア戦略研究所」が作成した極秘計画書
現にプーチン大統領が選んだという元情報将校たちを集めた「ロシア戦略研究所」(RISS)というシンクタンクがあります。
このRISSはロシア政府高官向けに「対クリントン極秘作戦計画書」を作成していました。同計画書にはこう書かれています。
「米次期大統領には親ロ派が選ばれるようにありとあらゆるメディアを通じてプロバガンダ・キャンペーンを展開せよ」
これは米情報機関が入手し、2016年6月、ロイター通信がすっぱ抜いたものです。
ヒラリー・クリントン候補は外交面でもオバマ政権の政策を継承すると公約していました。当然ロシアには厳しい対応をするでしょう。ロシアとしてはどうしてもヒラリー氏が大統領になることを阻止しようとする。そのためにもクリントン周辺のありとあらゆる情報が必要になってくるわけです。ロシアによるサイバー攻撃がフル回転したのです。
予備選序盤では共和党大統領候補は「雨後の筍」のように乱立していました。その中で目に留まったのは不動産業でロシア進出を試みてきたトランプ氏です。他の候補に比べると「ロシア贔屓」です。ロシアはトランプ氏に白羽の矢を立てたのです。