昇格・昇給と同時に生活水準も引き上げてしまう人

こうした仕組みを活用して「U-1000万円の壁」を乗り越えていかないと、退職金(企業年金)と手元資金の合計で3000万円を超えることは難しくなります。たとえ老後資金が3000万円未満でも、家計のやりくりでなんとかできる可能性は残されていますが、できる限りの上積みを図りたいところです。

お金の貯め方はステージによって少し戦略を変える必要がある、ということを意識するだけで、より自覚的な資産形成ができるようになります。

3つのステージは、年齢を重ね、仕事のキャリアを積み上げながら、ひとつずつ突破していくものです。このとき、効果的に資産形成を図るには「年収が上がったときの対応」について戦略的発想をもつことが重要です。

昇格・昇給、あるいは転職により年収がアップしたとき、生活水準を同時に引き上げてしまう人がいます。しかし年収が50万円上がっても、実際の手取りが50万円増えるわけではありません。税金などの負担も増えるからです。

▼「年収が50万増えたから家賃も3万高い物件に引っ越そう」

それにもかかわらず、たとえば「年収が50万円増えたから、家賃も3万円高いところに引っ越そう」と考えれば、負担増は50万円以上になるでしょう。毎月の家賃だけでなく、引っ越し費用、家具や家電の買い替えなどが想定されるからです。さらに食事の質やお酒のグレードを上げれば、「昇給分<生活コスト上昇分」となってしまい、家計は一気に赤字へ転落します。

私も年収アップが実現したとき、新しいオフィスの同僚と外食をしているとキリがないため、「いやーマクドナルド好きですから」などとランチを断っていたことがあります。昇格や転職で年収増を実現したときはしばらく生活水準を維持し、手取り増をしっかり見据え、できるだけその多くを資産形成に回すべきです。

「月1万円の積立貯蓄」だと年12万円が増えるペースですが、手取りが増えたときに「月1万5000円の積立貯蓄」に変更すれば増えるペースは年18万円になります。前述したとおりボーナスからの増額もできれば、さらにペースを上げられます。

もちろん、昇給分を全額貯蓄に回す必要はありません。しかし30代から40代にかけて、何度かやってくる貴重な昇給のタイミングを資産形成の力に変えることができれば、壁の突破はより容易になるはずです。

子供の学費負担を乗り越えて「U-1000万円の壁」を突破するのは50代の正念場です。笑って老後を迎えられるよう「3つの壁」を意識してみてください。

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