相談文に戻ると、洋子さんは〈何か地雷を踏んだのか急に不機嫌になることがあります〉と悩んでいます。理由もわからず急に不機嫌になられる経験が重なると、どんどん話題を選ぶようになり、コミュニケーションがとても窮屈になっていくはずです。これでは持続的な関係を築けるわけがありません。

近しい男性とは、なるべく良好な関係を築いていきたいもの。そのためには、洋子さんだけが我慢したり適当にやり過ごしたりする一方向的な対処だけでは難しいのではないかと思われます。

では、お互いが行う双方向的な対処法とは何か。それは「話し合う」という、ごくシンプルな対処法です。

「なぜ?」と問うても逆効果かも……

しかし、相手は不機嫌になっている赤ちゃんみたいな存在です。「そもそも話し合いにならないから困ってんだよ!」という話だとも思います。

ポイントになるのは、その「話し合い方」です。不機嫌な相手と話し合おうと思うと、洋子さんのように、つい「なぜ不機嫌なのか?」ということを問いかけてしまいがちです。もちろんそれはもっともな問いかけなのですが、先に述べたように、彼はおそらく自分が不機嫌になっている理由がわかりません。

また、「なぜ?」と聞かれると、「理由を問われている」ではなく「何か責められてる!」と捉える傾向が我々男性にはあります。したがって、ますます彼の殻のトゲが固くなってしまう可能性が高いわけです。

『生き抜くための恋愛相談』より。

そこでオススメしたいのが、「なぜ?」と問う代わりに、「あなたに不機嫌になられると怖い」「私は悲しい」「精神的にしんどい」という気持ちをそのまま伝える、という方法です。

不機嫌になるのは、言語化できないネガティブな感情に陥ったとき、目の前の問題をやり過ごすための便利な手段でした。しかし、それと引き換えに大きな代償を支払っていることに、おそらく本人は気づいていません。その代償とは「相手との信頼関係の悪化」です。そして、その代償を明確に伝えることが、不機嫌な男性へのもっとも効果的な対応になるはずだと、男性であるところの我々は考えています。

つまり、「あなたが不機嫌になるのは自由だけど、あなたに対する信頼メーターはその都度目減りしている。このまま信頼がゼロになってしまったらどうなるか、よく考えてください」ということを、ハッキリ伝えるわけです。