では、どうすればよいのか。もうすこし細かく数字を見ていくと、そのヒントが見えてくる。図2と図3は、優良企業(調査標本の上位4分の1)とそれ以外の企業(下位4分の3)の違いを考察したものだ。

日本では優良企業は世界レベル、それ以外は……

日本企業の優良企業群の組織生産力は137と、もともとの生産力を3分の1強上回る力を発揮している。優良企業群同士の日本とグローバルとの比較では、差は7ポイント(全体平均の差は20ポイント)にとどまっている。これは日本企業でも組織マネジメントがうまくできているところはグローバルな競合にもひけをとらない力を発揮しているということである。特筆すべき点は人材と意欲のマネジメントにより、優良企業では生産力のロスをそれぞれ30ポイント回復させている。これはグローバルのベスト企業をわずかながらも上回る数字である。

一方、調査対象の下位4分の3の企業群同士の比較は深刻だ。グローバルが組織生産力は102であり、ほぼキャパシティ通りの生産力を発揮しているが、日本の下位4分の3の企業は77と、そのキャパシティを23ポイントもマネジメントの拙さで棄損している。つまり、日本では「普通」の企業が世界では完全に落第点なのだ。この部分が日本企業全体の平均組織生産力のグローバルとの差の元凶なのだ。

内訳を見ていくと、大企業病による時間(Time)の浪費が生産力によるインパクトがマイナス34、人材(Talent)のインパクトはプラスマイナス0、社員の意欲(Energy)によっても生産力の毀損分は11ポイントしか挽回できていない。グローバルな比較対象群とは時間(Time)で10ポイント、人材(Talent)で4ポイント、意欲(Energy)で 11ポイントとすべてにわたって大きく差をつけられている。