日本企業の生産性は海外に比べて約2割低い。その要因のひとつは「優秀な人材の配置の違い」にある。ベイン・アンド・カンパニーとプレジデント社の共同調査の結果、優良企業ほど「Aクラス人材」を重要な事業に集中投下していることがわかっている。しかし日本企業には「オールスターチーム」を作りたがらない傾向がある。5~7人に1人というAクラス人材の正しい使い方とは――(全4回)。

「Aクラス人材」は全社で15~20%

もしあなたが社長だったら、会社の最も重要なプロジェクトを誰に任せるだろうか?

答えは「社内で最もできる人」だろう。ただ、あなたの勤めている会社で現状そうなっているだろうか? 優秀な社員、言い換えれば、Aクラスの能力を持った人材が組織の業績に大きな違いをもたらすことは異論がないだろう。

一方、こうした人材がどのくらい違いを生み出せるのか。数字で見ると衝撃的である。Aクラス人材とその他の人の生産性の差は職業の性質によって異なるが、われわれの調査では平均50%も高かった。(図1)

「Aクラス人材」とは特定の種類の優秀な能力を持ち、誰よりも組織の使命を理解し、戦略を実行に移すことができる人材である。組織にいるのといないのとでは大違いの「違いを生み出す人材」を指す。社内“だけ”で優秀な人材ではない。同じ業界内でも非常に優秀と目される人材である。

われわれの調査によれば、売上規模500億円以上の企業で全社員に占める「Aクラス人材」の割合は、日本企業では約20%、日本を除く海外企業では15%弱だった。管理職層へのアンケート調査結果であり、回答者によって尺度が異なるものの5~7人に1人しか「Aクラス人材」は存在しないというのは他の調査の結果を見てもおおむね共通している。

では、組織生産力の高い優良企業とそれ以外の企業の差は、この「Aクラス人材」の数の差なのだろうか?

答えは「ノー」である。優良企業も、そうでない企業も「Aクラス人材」の割合は大差がなかった(日本を除く海外において、優良企業は16%、それ以外の企業は14%)。では、何が「Talent(人材)」という観点で組織生産力の差を生んでいるのか?

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