長男のため残り300万円をどう捻出するか?
空き家は、父親の両親が住んでいた四国にある実家で、名義は父親に変更済み。築年数も古く住めるような状態ではなくなっており、長らく放置されている状況です。人口減が進んでいる地域ではあるものの、駅に近く立地は良いそうで、近隣の空物件は買い手がついているとのこと。
固定資産税評価額より、空き家は1000万円程度の資産価値があります。建物の解体費用や税金、諸費用などを差し引いても、600万円程度は手元に残りそうです。この資金があれば、希望のライフプランを何とか達成でき、長女にも少しは財産を残せるかもしれません。
今後は、さらに価値が下落する可能性があり、売れない空き家は負の遺産となってしまいます。「空き家については、気がかりではありました。このまま放置しておいてもよいことがないので、早急に、売却に向けて地元の不動産屋さんに相談します」(父親)。
今回の提案が絵に描いた餅にならず、実行に移していけるか。また長女への相続の問題(親の預貯金のほとんどが事実上、ひきこもりの長男が受け取る形になってしまう)など、まだ課題はあります。それでも、「とにかく、長男に残すべきお金の金額と、今、なにをすべきかが分かり、少し不安が解消されました」と、両親ともにほっとされたご様子で帰られました。
▼「手抜き」「手放し」が子供のためになる
このご家庭に限らず、子を思うゆえに生活費が膨らみがちなケースが見受けられます。一緒に生活していると、ついつい手をかけてしまう親心も理解できます。
しかし、本当に子供のことを思うなら、スムーズに、ひとり暮らしの生活になじめるように、極力、親亡き後との生活落差をなくしてあげる、つまり、「手抜き」することも愛情だと考えられます。
また、「与える」だけではなく、親亡き後に残すと維持・管理に困るものは、早めに「手放す」ことも大切です。「手抜き」と「手放し」が、結果的に子供の負担と親の負担、さらには、経済的な負担を軽減することにつながります。
ただし、突然、実行に移すと子供も動揺します。なぜ、家計改善に取り組むのか、目的と目標をしっかり子供に伝え、お互いに納得し、協力し合える形で実行に移していただくことが大切です。