親の資産2700万は親の代で0円になることが判明
公的年金の受取見込み額については、今後、国民年金保険料の未納がないものとして、ねんきん定期便より試算すると、65歳から年額約90万円となります。ただし、マネープランを立てる際は、支出は多めに、収入は少なめに見積もっておくほうが安心です。
将来、現行の給付水準より2割カットされる可能性があることと、「公的年金は65歳から受け取れないのではないか?」という両親の不安も勘案し、年額70万円で70歳から受け取るという前提で試算することにしました。
母親が85歳になる22年後に、60歳になる長男がひとり暮らしを始めるものと仮定し、60歳から85歳までの25年間で必要資金を計算します。
<年金がもらえるまでの60歳~70歳までの10年間>
年間生活費 120万円 × 10年 = 1200万円
<公的年金がもらえる70歳~85歳までの15年間>
(年間生活費 120万円 ― 公的年金 70万円)× 15年 = 750万円
上記の計算式より、長男が60歳~85歳の25年間のひとり暮らしで費やすのは1950万円。生活費の目標額は約2000万円となり、現在の貯蓄(2700万円)を親がそのまま長男に残せれば何の問題もないのですが、話はそう簡単でありません。今の生活を続けていると、子供に財産を残すどころか、親が存命のうちに貯蓄が底をつきる可能性もあることがわかったのです。
▼家計赤字の要因は「親心」にあった!
現在(家族3人)の家計支出を確認してみたところ、年間405万円(月平均33万7500円)が生活費として出て行っており、年間370万円の父母の収入(年金や母親の自営業所得)をオーバーしていました。母親が働くのはあと7年で、その後の母親の収入は年金95万円のみになります。父親が平均寿命で他界すると家族2人となり生活費は若干減りますが、ざっくり計算しても生活費だけで長男がひとり暮らしを始める前の段階で1800万円が貯蓄から取り崩されることになります。
さらに、自宅(一戸建て)の修繕費に400万円、車の買い替え代に150万円、両親の死亡整理費用として200万円などを計上すると、父親の計算通り、親の代でほぼ貯蓄を使い切りそうです。となると、愛する長男がひとり暮らしを続けることはできなくなります。