処方箋「完璧より優秀を」

完璧主義から脱するには、ベストではなくベターを目標にしたほうがいいでしょう。たとえ100点でなくても、90点ならば十分に優秀でまわりからも評価される。そのように発想を変えれば、足りない10点が気にならなくなります。

発想を変えるには完璧主義タイプの口癖である「~すべき」「~しなければならない」をやめて、「~してもいい」「~したい」と言い換えてみましょう。

「~すべき」は強制的な言い回しですが、「~してもいい」は自分に選択権があるため、「やったほうがいい部分」と「やらなくてもいい部分」の区別を意識するようになります。いままで見えていなかった「やらなくてもいい部分」が浮かび上がってくれば、大きな進歩です。

荒ワザですが、意図的に小さな失敗をするのもいい方法です。自分が考えているほど、まわりは人の失敗を気にしていません。むしろ小さな失敗は、人間関係の潤滑油になります。人は気の抜けない相手より、ときどき失敗をする相手のほうに親しみを感じます。ふだんは完璧でも少し抜けたところがある人を評して「人間味がある」という言い方をすることがありますが、これは好意の表現です。そう考えれば、ささいな失敗を気に病むこともないはずです。

小さな失敗がやがて大きな失敗に発展するのでは、という心配も無用です。小さな失敗で周囲と良好な関係を構築できていれば、大きな失敗になる前にまわりの人がカバーしてくれたり、万が一のときもフォローする側に回ってくれたりします。とはいえ、小さなミスも許せない完璧主義の人に、意図的な失敗を望むのは酷かもしれません。そこでぜひ身につけてもらいたい習慣は、とにかく実行することです。

考える前に手や体を動かせば、意図せずとも小さなミスは発生するものです。即実行自体がグズを直す習慣でもありますが、完璧主義タイプにとっては、失敗体験ができるという点で二重の効果があるでしょう。

(構成=村上 敬)