そして、3つ目が体の疲れが取れることです。これが一番大きな効果かもしれません。はじめたころは、忙しさにかまけて瞑想なしで過ごす日もありましたが、そんな日はとにかく疲れがたまりやすい。瞑想を通じてストレスの蓄積に対するセンサーが敏感になったため、そう感じるようになったのだと思います。「睡眠時間が十分とれないときは瞑想しないで寝るか」と問われれば、睡眠時間を多少削っても瞑想をするほうを選びます。睡眠の質も高く、翌朝もすっきりと起きられるからです。それくらい疲れが取れる効果を実感しています。

梅澤会長が取り組む超越瞑想は、ビートルズも学んだというインドに伝わる人間の全潜在能力を目覚めさせるという瞑想法のひとつ。

瞑想をはじめるようになって数年後、脳波を計測したことがあります。瞑想状態で計ったところ、リラックスしたときに優勢になるアルファ波の割合が98%と出ました。瞑想が実際に脳内の状態に大きな影響をもたらしていることの確証を得ました。

瞑想は主に頭やからだをリラックスするためにやっていますが、筋肉をほぐす目的でヨガも大学時代にはじめました。最初に効果を実感したのは日産での新人研修のときでした。4カ月間の工場実習で、工員の方たちと肩を並べ、車の組み立てをしていました。1日中立ちっぱなしで履き慣れない重い安全靴を履き、重い部品を運んでという作業なので、仕事が終わると足が棒のようになるわけです。それがヨガをすると足も腰も軽くなり、リフレッシュできる。ヨガはそれ以来、週1回のペースで習慣化しています。

外の世界から自分を切り離す

毎日2回の瞑想と週1回のヨガで生活のリズムも整います。特に食事の前に瞑想をするようになって食事が美味しく感じられるようになりました。好きなものを、バランスよく食べる。これもストレスをためないうえで大切なことです。

30代でマサチューセッツ工科大学(MIT)のビジネススクールに留学して以来、ボストンに2年、ニューヨークに5年、合計7年アメリカの東海岸にいました。高カロリーな食べものが多く、味も正直自分には合いませんでした。現地にある和食レストランにいくこともしばしば。あのときほど食事の大切さを実感したことはありません。今は仕事柄、夜の会食は週3回、多いときは週5回ということもありますが、暴飲暴食は避け、なるべく一次会で失礼させていただくようにしています。脳ミソとからだがビジネスの一番の資本ですから、そのメンテナンスをしないことには長期戦は戦えません。

瞑想は、アップルのスティーブ・ジョブズとグーグルの「マインドフルネス」の取り組みなどで注目を集めました。シリコンバレーのIT企業の人たちは特にテンポの速い世界で戦っているがゆえに、外の世界やインターネットから自分を切り離し、心身のリセットをするニーズが強いのだろうと思っています。

ちょうどさっきも、オフィスで瞑想をしていたところですが、秘書がコンコンとドアをノックして「梅澤さん、○○さんからこんなアポを入れたいと言っていますが、どうしますか」と声をかけてきた。「いいよ」と答えました。

瞑想をしている最中も、周りの音はちゃんと聞こえています。本当はリアクションをしたくないんですけどね(笑)。

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(構成=金井良寿 撮影=市来朋久)