最上級資格は「トイレクリーンマイスタートレーナー」
実はトイレほどメンテナンスが難しい空間はない。狭い割には、水回り、電気系統が集まり、臭気や汚れの発生源の多くは、便器の奥、裏側、排水管の中など、目の届かない場所にある。だからこそ、トイレ診断士制度を通じて必要なノウハウを身につける必要がある。
診断士には1級と2級があり、基礎研修を受けて1年間経験した後に2級を受けることができる。これは合格率90%だが、1級はそれほど簡単ではない。最低2年の経験の後、受験でき、合格率はわずか30%。年1回実施され、学科と実技試験がある。水回り、電気系統の機能と構造、臭気のメカニズム、関連法規などが問われる。
現在、FCも含めて、1級が68人、2級が74人となっている。最上級の資格では「トイレクリーンマイスタートレーナー」があり、日常の清掃管理手法についてメンテナンスワーカーに教えられるレベル。FCを含めて30人ほどが認定されている。
もともと日本人は清潔好きだが、近年、その傾向はますます強く、トイレの快適さが集客力を左右するようになっている。そのため、全国の大型商業施設、高速道路やJR・私鉄各社、飲食店チェーン、病院など人の集まる施設では同社のサービスが喜ばれている。
「取れない汚れはない」
アメニティの事業の柱は主に3本ある。
「リピート・メンテナンス」(定期診断管理)は、定期的にトイレをチェックし、問題があれば対処する。具体的には便器の汚れや臭気確認、小便器の尿石防止剤の設置・交換、水を流す機器の診断、消臭剤の設置・交換などだ。作業後、リピート・メンテナンス報告書を作成する。
「リフレッシュ・メンテナンス」(機能・美観復帰)は、リピート・メンテナンスの前に実施されることが多い。見えにくい汚れを落とし、臭気を除去、排水管、汚水桝、床や壁の汚れ、設備機器の不具合などを直し、トイレ全体をリフレッシュする。
臭気の元は温水洗浄便座の裏側などに隠れていることが多い。尿石や汚物、時にはゴキブリの糞や卵などが付着していることもある。便座の脱臭フィルターも尿とほこりで目詰まりし、悪臭を放つフィルターになってしまう。床にこぼれた尿が目地にしみこんでいる場合は、汚れを除去し、必要に応じて床全体をコーティングする。
小便器の排水管内も内部に大量の尿石が付着し、管が細くなって、排水不良や悪臭の原因になる。そのため、電動ワイヤーや高圧洗浄機で尿石を取り除く。
山戸が「取れない汚れはない」と断言するだけのノウハウを持っている。
例えば、ある大型ショッピングモールでは、トイレ内の臭気がいつまでも抜けず、困って、アメニティに調査を依頼した。駆けつけたトイレ診断士は検知器で臭気濃度を調べ、風速計で換気扇の換気能力を確認、トイレ室内の容積から換気回数を割り出し、換気能力の不足が原因であると結論づけた。
こうした原因では、いくら芳香剤を設置しても意味がない。アメニティは感覚的なものを数値化してわかりやすく顧客に説明できるため、高い評価を得ている。
原因が設備にあるとわかれば、その改善も手伝う。それが3つ目の事業「リニューアル・サポート」(設備改善支援)だ。和式から洋式トイレに入れ替えたり、便器の数を増やしたり、タイルの貼り替え、便器や洗面台水栓の自動化なども行う。自動機器の製造も行っており、外食チェーンにも多数納入している。