■情報の断捨離ができない
抜けや漏れを嫌う理系。資料作りでは、それが結果的に「わかりにくさ」を引き起こすことがあります。数字は必ず小数点以下をつけて示す、例外があれば漏れなく添える、10位までで十分なのに100位まで載せるなど。情報が多すぎて、かえって不親切な資料に。グラフや表は必然的に項目や数字がゴチャゴチャと並んで、わかりにくい。
⇒解決策 伝えたいことを明確に
資料全体や各項目で、伝えたい「メッセージ」を明確にしましょう。そして、言いたいことが伝わる文章や数字、グラフが入っているか客観的に検証していく。メッセージがぼやけてしまう不要な情報があれば、バッサリと捨てていく勇気が必要です。数枚にわたる資料なら、全体を把握できるページ割を書いて整理するのも有効です。
【プレゼンするとき】
■プロセスを延々と話す
理系のプレゼンは、「話が長い」と言われがちです。調べたことをすべて、順番に話すからです。メッセージにたどり着くまでのプロセスを訥々としゃべり続ける。肝心のメッセージは、最後まで聞かないと見えてこない。いかに詳細まで時間をかけて調べたのか、細かいデータを多く持っているかをアピールポイントと考えるという理由からも、どうしてもプロセスに力が入ってしまいます。
⇒解決策 ひとかたまり30秒以内に
最初に結論、その後にプロセスを話す、という順番を意識しましょう。「結論→プロセス」のかたまりは「30秒」以内で話せるように、内容をそぎ落とす訓練を。資料作りの際と同じで、いらないもの、言わなくていいことは捨ててしまうのです。30秒以内にまとめてもつい最初に説明から入ってしまうようなら、常に話の冒頭に「結論から言うと」と言うように徹底するのも手です。
■専門用語があちこちに
IT業界の人に多い傾向ですが、無意識のうちにカタカナ語を多用してしまいます。「サイロ」「デプロイ」「バズワード」……。同業者同士の会話ではこうした用語を使うほうがスムーズなので、その延長線上で、誰に対しても使ってしまいます。さらに問題は「どういう意味?」と聞かれても正確に答えられないこと。自分でも意味がわからず使っているケースは少なくありません。
⇒解決策 自分の母親にもわかる言葉で
聞く相手が母親、家族、子供や学生だと想定するといいでしょう。誰もが理解できる言葉を使って話す訓練になります。日ごろ使うカタカナ用語は、改めてその意味を調べておいて、プレゼンではなるべく置き換えるようにする。カタカナ用語を使って話すと専門的でなんとなくスマート、というイメージがあるかもしれませんが、聞く相手が求めているのは、「わかりやすさ」なのです。