「30年に売上高2.5兆円、うち1兆円を海外」「世界で3位の日用品メーカーになる(現在は7位前後)」

これらの数字は、率直にいってかなり高い。現状の売り上げ規模を1.7倍に成長させる。しかも売り上げの7割を占める国内市場は、今後の人口減少で苦戦が予想される。グローバルに成功するには、P&G(売上高約8兆円)、ユニリーバ(同6兆円)など先行する巨大企業と対峙しなければならない。はたして勝機はあるのか――。

(上)競合よりも高い“本拠地”売り上げ構成(左下)日用品・世界売上高ランキング(右下)花王専務執行役員兼花王グループカスタマーマーケティング社長 竹内俊昭氏

花王のこれまでの強さを知るうえで、欠かすことのできない人物がいる。竹内俊昭・専務執行役員だ。花王の販売組織をまとめるキーマンだ。まずは、竹内氏にも「花王らしさとは何か」と尋ねた。すると、「理屈っぽいところ」という答えが返ってきた。

「研究開発、マーケティング、販売戦略まで徹底して理屈を積み重ねていく。『なぜいいのか』を繰り返すことで、納得感が生まれる。販売の現場でも、商品の魅力をきちんと伝えるため、理屈っぽく説明するんです」(竹内氏)

予測の約1.5倍も売れている

新商品であるデオドラントZにも手応えを感じている。

「当初の予測の約1.5倍売れています。社内会議で商品の説明を聞いた瞬間に売れると思った。汗腺にフタをする制汗剤ではなく、汗を蒸発させてにおいを防ぐデオドラント剤の魅力を伝えられれば、店頭でも売れると」

入社時から営業一筋。愛着のある商品は「アタック」だという。1987年の発売以来、30年にわたって花王の看板を背負ってきた代表商品だ。

「発売当時は入社7年目。大手スーパーの担当でした。アタックは初めてのコンパクト衣料用洗剤で、画期的な商品。競合さんとも競争がまだなかった。それをどこまで伸ばしていくか。追随してくる他社製品にどう対抗するか。やりがいはありました」