損害保険ジャパン日本興亜 取締役社長
西澤敬二さん

1958年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、80年安田火災海上保険入社。損害保険ジャパン執行役員営業企画部長、常務執行役員等を経て、2014年損害保険ジャパン代表取締役専務執行役員。損害保険ジャパンと日本興亜損保の2社統合の際、統括責任者として指揮を執る。16年4月より現職。
 

私は「人に誠実であれ、仕事に真摯であれ」ということを心がけています。もちろん人格を磨く意味もありますが、ビジネスをする際にも、誠実さと真摯さはとても大事な要素だと考えているんです。

では、誠実さ、真摯さはどうやって磨くことができるか。それは、「物事の本質を絶え間なく追求する努力」「実現まで決して諦めない情熱」「新しいことや不可能なことにチャレンジする胆力」です。私はこのことを常日頃から自分に問いかけ、社員にも伝えています。

ただし、良い仕事をするためには健康でなくてはいけません。リラックスした雰囲気で美味しいものを食べたときには幸せを感じますし、ストレスも発散して、健康になれる気がしますよね。

ですから私がプライベートで行く店は、美味しいのはもちろんのこと、気軽に入れ、店主の人柄が良く、おもてなしの心がある。そして、店主やおかみさんやお客同士でも雑談ができて、楽しい気持ちになれるような店なんですよ。

「すし ひふみ」は大将の人柄が好きです。純朴な青森県人の気質がある。しゃべりすぎることもなく、寿司を握るときの真剣な表情がまた、好きなんですよ。大将がこの店を開店した4年前から通っていますが、その真剣さは今でも変わらない。誠実さを感じますし、仕事にもそれが表れている。寿司やつまみの食材にもこだわりを感じますが、仕込みにしっかりと手をかけてあり、じつに丁寧な仕事ぶりで、職人の“粋”を感じます。

「蕎麦酒膳 くら嶋」は、お酒の種類が豊富で、それに合わせたつまみの種類も多く、とても美味しい。築地で買い物するのが楽しいと話すご主人が、一流の食材を仕入れている。人情味溢れる人柄で、蕎麦もつまみも最高というお店はそうありません。気配りも行き届いていて、例えばかき揚げ1つとっても、1人前を、2人なら2つ、3人なら3つと、人数に合わせて揚げてくれる。気持ちを汲み取ってくれる接客が、また行きたくなるゆえんなのです。

豊かな人生を送るためには、様々な方との交流を深めることが必要です。そして、真の人間関係をつくるには、大いに雑談をするのが一番。たわいもない会話の中に、相手の人柄も見えてくる。そのためには、美味しいものを食べたり、ちょっとお酒が入ったり、ということも大事だと思うんです。

「食べること」とは、コミュニケーションを深めるために欠かせないものではないでしょうか。