問題:職場のメンバーと考え方が合わないといつも感じている。どう考えるべき?
京セラセオリーなら――心の軸を合わせる
人付き合いが得意ではないこともあって、職場で浮きがちに。どうしたらいいか。
京セラの山口悟郎社長は、「タイプの異なる人が職場にいるのは多様性があっていいが、根底にある価値観は同じでいてほしい」と言う。
「弊社はフィロソフィに根ざした経営をしているので、それを否定する人がいると、組織として力も出ないし、スピードも鈍ってしまう。最低限、考え方のベクトルは合わせてもらう必要があります」
フィロソフィで価値観を共有して一体感を醸成するのは、JALも同じだ。JALでは年に4回、グループ全社員にフィロソフィ教育を行っている。一つのテーブルに、客室乗務員や営業、機内清掃などさまざまな部門からきた6人が座って、フィロソフィ項目について議論をする。
JAL客室本部の瀬貫由美氏は、フィロソフィ教育が行われるようになってから、「一人一人に『自分たちは“チームJAL”だ』という意識が芽生えるようになった」と指摘する。
たとえば以前は飛行機が遅れたとき、機内での準備や安全確認に忙しい客室乗務員と、できるだけスケジュールどおりに乗客を案内したい地上スタッフがお互いに自部門の都合を優先して、連携がうまくいかないこともあった。フィロソフィ教育を重ねるうちにセクションを超えて協力し合えるようになった。
「JALフィロソフィの中に『最高のバトンタッチ』という項目があります。お客様を到着地にお届けするには、航空券を売る係、お客様を飛行機にご案内する係、荷物を積み込む係、飛行機を整備する係、客室乗務員など、それぞれの係が次の受け手のことを考えてバトンタッチすることが大切です。フィロソフィ教育によって、そうした価値観が共有されることになったのは大きい」
価値観が共有されていれば自然にみんなが同じ方向を向く。自分だけ違う方向を向いて疎外感を味わうことも少ないはずだ。