――森田直行氏は、稲盛和夫氏の傍らで、JAL再建に副社長として取り組んだ。結果、JALは世界最高水準の利益率を誇る航空会社として蘇った。

JAL復活はアメーバ導入以前の問題もあった

JAL再建というと、アメーバ経営やフィロソフィばかりが取りざたされる印象があるが、それらを導入する前に大掃除を実行し、まずは利益を生み出す体質をつくったということを覚えておいていただきたい。

森田直行●1967年、同じ大学の先輩・稲盛和夫氏が創業の京都セラミック(現・京セラ)に入社。2010年、日本航空会長・稲盛氏の補佐役として日本航空副社長に就任。

まず各本部の調達部門を1カ所に集めて、調達本部として組織し直し、お付き合いのあった業者さんに頭を下げにいってもらった。JALは再生に向けて今が苦しいときなので、業者の皆さんもぜひわれわれを助けてくださいと言って回らせたのだ。業者の方々は、こころよく引き受けてくださった。そして本当に必要なものだけ購入するという当たり前のことを徹底させた。その過程で調達本部が「調達させない部」と陰口を叩かれることもあった。