「病院ランキング」は真剣勝負の結果
ただ、医師や看護師の知人でもいない限り、院長の実力や病院の経営状態はわかりにくい。大学病院などは財務状況を公開しているが、これも専門家でなければ、理解できないだろう。では、多くの患者はどうすればいいのだろうか。
私がお奨めするのは、「患者数ランキング」の記事だ。新聞や週刊誌は「心臓手術の多い病院トップ100」のような記事をしばしば掲載する。私は、このデータは病院選びの上で参考になると思う。なぜなら、医師同士の真剣勝負の結果を表しているからだ。
心臓手術であれ、がんの治療であれ、専門病院にくる患者の多くは地元の病院や開業医からの紹介だ。つまり、開業医や地元の医師が推薦した病院を受診しているのだ。
紹介元の医師にとって、どの病院を紹介するかは極めて重要である。患者は自分の「顧客」であり、低レベルの病院を紹介したら、自分の患者が不利益を蒙るからだ。こういう評判は地元ですぐに拡がる。逆に、トップ病院に紹介できれば、それだけで病院の評判はあがる。
つまり、紹介元の医師は患者の紹介を通じて、専門病院のレベルを評価しているのだ。その要約が患者数ランキングである。これは真剣勝負の結果だから、他の記事と比べて遙かに信頼性が高い。
患者から「どの病院のレベルが高いか」と聞かれたら、私は「マスコミの患者数ランキングを参考にするように」とアドバイスすることにしている。これまで、大きな外れはなかったと思う。その証拠に、首都圏に限れば、癌や心臓病のトップには専門病院の名前がずらりと並び、大学病院など総合病院は後塵を拝している。