土地の実勢価格は約9億5000万円。ゴミ廃棄費用が8億円。結局土地の値段は85%値引きの1億円ちょっと。ここに国民は怒りを爆発させた。

「これはヤバイな~」と感じた国の説明

このメルマガで森友学園問題について論じ始めたとき、森友学園問題の核心的問題点は次の2点であると冒頭に指摘した(Vol.47)。

1、土地売却価格の妥当性(ゴミ廃棄費用約8億円の妥当性)
2、政治家や官僚にカネが渡っていたかどうか

今回の土地の実勢価格は約9億5000万円。そしてゴミ廃棄費用が8億円ちょっとということで、結局土地の値段は85%値引きの1億円ちょっととなった。ここに国民は怒りを爆発させた。

あの土地に実勢価格として約9億5000万円の値が付くのかどうかがそもそも大いに疑問だが、ここは役所の知恵である。変に土地の値段を下げると周辺の公示価格に影響する。だから表向きの土地の値段はそこそこに保っておいて、一工夫ほどこして値引きする。この辺は役人は実に賢い。

森友学園の土地の隣に、豊中市が同じく国から購入した土地がある。今は公園になっている。豊中市はタダで譲ってもらいたかったけど、取引価格0円となると周辺の公示価格にも影響する。だから表向きの土地の値段は14億円にして、豊中市は一応14億円で購入したことにした。ところが国から14億円の補助金を受けて、結局タダでもらったのと同じ。それでも表向き、土地の売買価格は14億円という事実が残り、周辺の土地価格を決める重要な要素となっている。

元へ。政治家や官僚がカネを受けていたという事実の立証はできなくても、国有地を特定私人に対して大幅値下げをして売ったということになれば、それは疑獄事件と疑われてもやむを得ない。だからまず明らかにすべき核心的問題点は、土地値段の妥当性、すなわち値引き額として計上されたゴミ廃棄費用約8億円の妥当性を明らかにすることだ。このことは、これまでにも散々述べてきた。

そしてやっとゴミ廃棄費用約8億円について国が体系立てて野党に説明する場が設けられた。国は野党議員から個別に質問を受けることはあったが、野党に対して体系立てて説明するのは初めてとのこと。このような説明会を行うことが問題解決のプロセスの第一歩だ。4月4日の国から日本維新の会への説明会である。時間は1時間20分ほど。

この記録映像を見て、これはヤバいな~と感じた。国は行政マンとして一生懸命説明するんだけど、一国民としての僕に全く納得感が芽生えない。その場にいた日本維新の会の国会議員も全く納得していない。

結局、国は、土地から出てきたとされるゴミについてしっかり現認(=自らの目で確かめる)していないことがはっきりした。しかも億を超えるこれだけの大きな金額の話なのに、第三者に鑑定評価させたりもしていない。これは大問題になるな、と感じたね。

国の説明ではゴミを現認したのはほんの一部。ただしその証拠写真も出されなかった(国の説明ではその証拠は会場に持って来ていないだけで存在するとのこと)。国の説明とその後の国会議員との質疑応答を聞けば、ほとんどは森友学園からの申告と森友学園が提出した写真を基に、推論に推論を重ねて約8億円とはじき出したことが分かる。

もちろんその推論は行政の内部では問題とは感じないのかもしれない。行政内部のルールにきちんと従っているから大丈夫だ、とね。でも国民の単純な疑問には全く応えていないんだよね。「なんでもうちょっと掘って確認しなかったの? 8億円の値引きって物凄い大きな金額なんだからもう少し自分のお金が減ることとして真剣にやってよ」という単純な疑問にね。そうなると、いくらルールに従っていると言っても、そのルール自体がおかしいと考えなければならない。これこそが政治の役割なんだよ。

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.50(4月11日配信)からの引用です。もっと読みたい方は、メールマガジンで!! 今号は森友問題を総括する1万7000字超の決定版「[総括!森友問題]これが全体解決への唯一の道だ!」特集です。

(撮影=市来朋久)
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