「技術と能力を見える化」する具体策

世界の最新技術動向や企業・製品の開発動向を「アサノ ワールド イノベーション ラボ レター」として取引先に提供。

まず彼らは、社員の持つスキルに着目し、社内に高度な技術や能力を備えた人材を擁していることを紹介する「ASANOマイスターの矜持(きょうじ)」というコンテンツを自社サイトに掲載した。

次に取り組んだのが、取引先が求める最新の情報提供とその仕組みづくりだ。日本ではまだ報道されていない世界の最新技術動向や企業・製品の開発動向について海外の情報源を調べて翻訳し、四半期毎にカラーリーフレットにして編集。これを「アサノ ワールド イノベーション ラボ レター」と命名して、取引先の製品開発担当者や技術開発者に提供していく仕組みをつくった。

この「アサノ ワールド イノベーション ラボ レター」は営業担当者が取引先を訪問する際に届けるのは勿論、学会で研究論文を発表した企業の技術者にも送付し、関係づくりの足掛かりにしている。また展示会を訪れた新規顧客との関係をつくるために、「アサノ ワールド イノベーション ラボ レター」の最新号を届ける取り組みも開始した。

群馬県の浅野本社。

さらに展示会や会社訪問時に自社の技術を見て実際に触れてもらえるように、実物の約2分の1となる全長1800mm、全幅900mm、高さ480mmの「F1カー」を製造した。製作には、得意とする金属加工はもとより、業界で注目されている熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)も起用し、最新の技術力をアピールする取り組みも加味された。

この「F1カー」 は、「ハノーバー・メッセ2015~インダストリアル・サプライ」を始め、同社の出展する展示会に「企業力としての技術と能力を見える化」するシンボルとして展示活用し、来場者の注目を集める資源にできた。

さらに、伊勢崎市境東新井にあった本社と群馬工場を現在の伊勢崎市三和町に移転するのを機に、取引先の工場見学を積極的に受け入れられるようにした。工場の設計にあたっては、冷暖房を完備するなど最新の設備を導入するだけでなく、当初から「見学ルート」を考慮して計画した。快適で美しい労働環境の中に最新の製造機器を導入した製造現場を「見える化」したことで、企業として信頼され、成約率を高めている。