失って初めてそのありがたみがわかるものの筆頭が健康だ。若いときから病気知らずだったりすると、自分の健康を過信して「俺はまだまだ若い」と無茶を重ねがち。職場の健康診断で「要注意」と指摘されても、「大したことはないだろう」と高をくくってしまうものだ。

とくに仕事柄接待の機会が多い人は、つい食べすぎ、飲みすぎで生活習慣病を招きやすい。医者から「糖尿病の気があるから定期的に運動をしなさい」などと言われても、多忙にかまけて無視している人もよくいる。その結果、突然心筋梗塞の発作を起こして帰らぬ人となるケースも多い。後になって「あのとき医者の言うことを聞いておけば……」と悔やんでも遅いのだ。

ところで食事には、単なる栄養補給以上の意味がある。身寄りがなく、晩年をビハーラ僧の三浦紀夫氏のもとで過ごしたある男性は、すでに食べ物を受け付ける体ではなかったにもかかわらず、おそらく最期になるであろう誕生日を目前にしたとき「もういっぺん寿司が食べたい」とせがんだという。「家族とお寿司で誕生日を祝った思い出があったのでしょう」(三浦氏)。

(篠原沙織=撮影)
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