カラスやタヌキ、ハクビシンも「ジビエ」

皆さんは「ジビエ」という言葉を、一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。ジビエとは「狩猟で得られた天然の鳥獣の食肉」を意味するフランス語です。代表的なところではイノシシやシカ、カモなどが挙げられますが、そのほかにもウサギやリス、アライグマのように「ちょっとかわいそう」と思ってしまう生き物も含まれます。

あるいは、カラスやタヌキ、さらにはかつてSARS(サーズ)という病気との関係を疑われたハクビシンなどについては、「え、食べて平気なの?」と感じる人もいることでしょう(言うまでもなく、「かわいそう」と思うのも「不気味」と感じるのも、私のエゴに他なりません)。ちなみに日本では、28種の鳥類と20種の獣類が「狩猟鳥獣」に指定されています。

2016年12月に「鳥獣被害防止特措法」という法律が改正され(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO134.html)、捕獲した鳥獣を食肉として利用することが強く推奨されるようになりました。法律名にある通り、こうした動きの背景にあるのは、野生鳥獣による甚大な農作物被害です。日本全国で200億円近い被害額が毎年報告されており、さすがに何とかせねばということで、「駆除」に対する圧力が年々増しているのです。

捕獲した動物を活用すべく、ジビエでの町おこし、学校給食におけるジビエ料理の提供(シカバーガーやイノシシポトフなど)、あるいはレシピコンテストの開催など、消費を拡大するための取り組みは増えています。しかし、その成果が出ているかと言うと、「YES」とは言い切れないのが現状です。

加工処理に関する統一基準の制定、食肉加工施設や流通網の整備など、法的や物理的な課題がボトルネックになっているのは間違いありません。しかし、それに加えて「売り方」や「情報の届け方」などのマーケティング的な観点からも「うまくいっていない理由」があるような気がします。皆さんも「どうすればもっとジビエが普及するか?」、言い換えれば「どうなっていれば自分はジビエを食べるだろうか?」ということを、少し想像してみてください。