「教養は武器になる」。『読書は格闘技』の著者、瀧本哲史氏はこれまでの著作でそう主張してきた。では教養を培うには何をすべきか。そのひとつが読書だ。著者の語りは絶対ではない。内容を疑い、思考を深めるのが、真の読書である。そのためには格闘する価値のある「良書」を選ぶ必要がある。賢人は、どう選び、どう読むのか──。
なぜリーダーたちは『君主論』を愛するか
よく年長者は「古典を読め」と言います。しかし、そう言う人ほど古典をきちんと読めていません。私は新著『読書は格闘技』(集英社)で、本当に役立つ読書術を解説しました。今回はそこから「古典」の読み方を紹介しましょう。
古典を理解するには、その書がどのような人物によって、どのような文脈で書かれたかを知ることが重要です。ここではマキアヴェリの『君主論』を例にとります。『君主論』は、タイトルはよく知られているにもかかわらず、実際にはあまり読まれていないうえ、評判の悪い本です。しかし古今東西の多くのリーダーが愛読書としてきました。なぜでしょうか。
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