トランプ政権の対中強硬戦略の中心人物。新設の国家通商会議ディレクター兼大統領補佐官として、主に通商戦略の指揮をとる。中国輸入品に45%の関税をかけるという一見乱暴な政策は、彼の分析を基に生まれた。大統領が惚れ込んだのは彼の経済学者としての知見だけでなく、著書『米中もし戦わば』(2015年原著刊行)などで示された地政学的観点からの中国軍事脅威論だ。台湾の地政学的重要性を説き、「一つの中国」原則放棄路線をトランプ氏に提言したアドバイザーの1人だ。

米国家通商会議ディレクター ピーター・ナヴァロ氏(AFLO=写真)

ハーバード大学ケネディ行政学スクールで公共経営学修士、経済学博士号を取得。エコノミスト、公共政策学者としてカリフォルニア大学アーヴァイン校教授となる前は、ワシントンDCで環境・エネルギー政策のアナリストの経験もある。もともとは民主党系であり、1996年の下院議員選も民主党から出馬した。自由貿易を称賛し、レーガン政権の保護主義を批判したこともある。中国批判も、本来は中国の人権・環境無視の重商主義と保護主義の批判からスタートしている。やがて中国研究を重ねた末に「諸悪の根源は中国」という考えに行きつき、対中弱腰のオバマ民主党政権を批判するに至った。

日本には「アジアの将来の戦争と平和に重大な影響を与える国」と同盟国としての期待を寄せる。その心は、力による平和への道を説く「ドラゴンスレイヤー(龍退治の英雄)」に、日本もコミットせよという暗黙の誘い。米中関係のみならず、日本の未来も左右するキーマンだ。

米国家通商会議ディレクター ピーター・ナヴァロ(Peter Navarro)
1949年生まれ。72年タフツ大学卒業。86年ハーバード大学経済学博士号取得。カリフォルニア大学教授などを経て2017年1月20日より現職。
(AFLO=写真)
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