電気の安定供給の大切さを実感しているか
東日本大震災では電力の需給逼迫から首都圏で大規模な計画停電が行われたことがあるが、実際のケースでは、昨年10月12日午後2時50分ごろ、埼玉県新座市の東京電力の地下施設で火災が発生。送電用のケーブルが燃え、都内の約58万軒が一時停電した。幸い、20分後には、おおむね解消。およそ1時間後に完全復旧している。東電の調査の結果、ケーブルの接続部が何らかの理由で壊れて漏電し、出火したことが判明した。
首都圏での出来事という重要性にかんがみ経済産業省は6日後、菅原郁郎事務次官をトップとする事故の分析や今後の対応を検討するタスクフォースを立ち上げた。ただちに、電力会社をはじめ、ケーブルメーカー、関連技術の有識者、電気以外のインフラ会社など延べ29者からヒアリングを実施。11月中を目途に、対策をまとめて各電力会社に伝えるとした。
およそ1カ月後の11月16日、世耕弘成経産相が、東電の廣瀬直己社長と電気事業連合会の勝野哲会長らに対して、再発防止策を徹底するよう指示した。それによると、リスクに対応した計画的なケーブルの交換と接続部に延焼防止対策の実施。AIなどの最新技術を駆使して、ケーブルの劣化を把握する新たな検査方法の導入などを求めている。これを受けて東電および電力各社は、年度内に再発防止計画をまとめて、経産省に報告することになっている。
映画のラスト近くで、大停電の原因が太陽フレアの異常だったらしいとい明かされるものの、そんなSF的な理由でなくても『サバイバルファミリー』のような状況が起きないという保証はどこにもない。現在の電力事情を見れば、原子力発電所は数基が稼働しているだけ。震災直後は注目度の高かった太陽光や風力といった再生可能エネルギーの発電プラント普及は思うように進んでいない。改めて、電気の安定供給の大切さを考えさせられた。