サーファーがいい波を求めるように、ランナーはいい道を求める
一度は走ることから遠ざかった大森氏だが、再び走ろうと思ったきっかけは、自らが運営することになったランニングのNPOだったという。
「新卒で入社したリクルートグループを退職し、次に就いた仕事が地域活性の仕事でした。職場は私の出身地でもある横須賀。地元の魅力を伝えながら、仕事とは別にランニングのNPOを立ち上げました。そこで出会ったのは純粋に走ることを楽しんでいるランナーたち。彼らのおかげで、辛い思い出ばかり浮かぶ現役時代の“走る”という呪縛から解き放たれ、走ることを心から楽しめるようになりました。ランナーのなかには、タイムや距離といった数字に縛られている人も多いはず。もちろんそれも重要なモチベーションとなりますが、それ以外にも素晴らしい面がたくさんあることを知ってほしいですね」(大森氏)
2015年、大森氏が立ち上げたWebメディア「Runtrip」は、そんなランナーたちをつなぐポータルサイトだ。Runtripとは大森氏の造語で、サーフトリップが語源となっている。
――まるで、サーファーがいい波を求めて旅をするサーフトリップのように、ランナーがいい道を求めて旅をするスタイル。それがRuntrip(ラントリップ)です。(「Runtrip」webサイトより引用)
サーファーにとってのいい波が、ランナーにとってのいい道であると置き換え、世界中どこにでもあり、誰もが自由に使うことのできる道という無料のリソースを有効活用するためのサービスがRuntripだ。
レースに出場することや記録向上だけでなく、日本各地にあるまだ見ぬ素晴らしい道を走ること、さらにその土地にしかない温泉や食を楽しむこと。そんな二次的要素が加わった、走ることを丸ごと楽しむための情報を提供している。
「ランナーにとって、素敵な道を探すことはなかなか難しいことです。Runtripでは、日本中、世界中のランナーたちが、地元の自慢の道やお気に入りの道を投稿し合い、情報共有しています。イメージはランナー版クックパッドといったところでしょうか(笑)」(大森氏)