2017年3.20号の特集テーマは「つまらない事ばかり、なぜ考えるか?」。
実力以上の仕事を託されたとき、左遷されたとき、仕事の約束が果たせないとき、大赤字を出したとき、時代の流れについていけないと感じたとき……。
そんな困難に遭遇したとき、どう考え、どう乗り越えてきたのか。企業のトップに聞くという企画を担当しました。
「僕も、いっつもつまらないことでクヨクヨしてね。失敗して、反省することばかりですよ。でも、それを人に悟られちゃいけない。まるでクヨクヨしていないような顔をしてないと」
と、満面の笑みで答えてくれたのは、エステーの鈴木喬会長。モットーは、「弱いときこそ、はったりをかます」。
「オレは世界一仕事ができるってかたく信じ込んで、自己暗示をかけ続けてきました。自分の実力以上の仕事なんてこの世に存在しないと、根拠なき確信を持ってるんですよ。社長になってからは、商品アイテムを減らしたり、新商品を絞り込んだり、過去を全面否定するようなことばっかりやったから、役員たちからは抵抗の嵐。でも、自分なら立て直せるって思いながら突っ走ってきました」
大和ハウス工業の大野直竹社長は、「仕事で困難だとか、面白くないと感じたことは、ほとんどないですねえ」と、ちょっと困り顔で、新入社員のころから今までを振り返ってくれました。
「たとえば左遷されたっていうのは、本人の受け止め方の問題。飛び込んでいく気持ちがあれば、それは左遷ではなくなります。僕も新人のときは、お客様が全然いない、小さな営業所にいました。でも、一から新規開拓するのは楽しかったなあ。その経験は今でも生きています」
「うまくいかないことは、人のせいにするのが一番ですね」
と言うのは、ポルシェジャパンの七五三木敏幸社長。
「仕事の約束が果たせないなんて、しょっちゅうありましたよ。そんなときは内心で、あのディーラーが売らなかったからだ、とか、責任転嫁するくらいでいい。考えてみると優秀な営業マンほど自己中ですね。そうやって言い訳しながら、対応策を考えている。反省は必要ですが、すぐに次に向けて動きださなければならないわけですから」
話を聞きながら、なんだか心がカラッと晴れやかになっていきました。やっぱりトップになる人は、とことん前向きだった!
仕事がうまくいかない、面白くない、やりがいがない、未来が見えない、もう辞めたい……。そんな方の心に響く言葉が満載です。