「ゴルフ場、銭湯」は犯罪者の猟場

高度な手口に思わず舌を巻くのは「スキミング」だ。スキマーと呼ばれる機械で、磁気ストライプからカード情報を抜き取る。スキマーはタバコサイズに小型化され、秋葉原に行けば数千円で購入できるといわれている。

その昔は、中国エステ、台湾エステなどの性風俗店がスキミングの温床だったそうだ。客がシャワーを浴びている間、からっぽの部屋で財布からカードを抜き取り、スキミングするのだ。

では、今はどんな場所でスキミングされるのか。日本クレジット協会によると、「今のスキミング被害は大半が海外でのもの。偽造カードの取り締まり強化に伴い、日本でのスキミング被害額は激減している」という。しかし、安心はできない。国民生活センターにはこんな事例も寄せられている。

40代男性。ゴルフ場のセキュリティボックスに貴重品を預けたが、隠しカメラで暗証番号を読まれてボックスを開けられた。そしてボックスに入っていたカードをスキミングされ、20万円分の電子マネーを使われた。

キーワードは「ゴルフ場」だ。ゴルフ場といえば、それなりのステータスを持つ人の社交場。しかも一度コースに出れば数時間は戻らないとあって、犯罪者にとっては格好の猟場となる。

カード会社関係者から聞いたところ、ゴルフ場に限らず、銭湯施設やスポーツクラブなど、セキュリティボックスがあり、一定時間、利用者が戻ってこないような場所はスキミングされる危険があるという。“セキュリティボックスの暗証番号をカードの暗証番号と同じにしている人が多い”というのも狙われやすいポイントだ。

レジでは自分の手で機械にカードを差し込む習慣を。(写真=amanaimages)

現在、日本クレジット協会では、クレジットカードにICチップを付けることを推奨している。ICチップ付きカードは磁気ストライプに比べ情報を抜き取られるリスクが低い。平成27年12月末時点でICチップ化されているカードは68.2%。カードを選ぶ際はポイント還元率に目がいきがちだが、ICチップにも注目したい。

クレジットカードではないが、流行の「海外用プリペイドカード」はICチップ率が低く、スキミングされる可能性が高いという。海外に携帯するときは、スキミング防止機能が付いた財布に入れる、レジでは目の前で決済をしてもらうなどの注意が必要だ。