農家がつくる素朴なこんにゃくがヒット

――商品開発について伺います。どのような考え方で商品開発を行っていますか。

【澤浦】一番のテーマは「有機栽培」「有機食品」です。有機食品の市場シェアは日本ではまだ0.2%ですが、海外を見るとドイツでは12%、フランスでも8%を占めています。今後日本でも開拓の余地があると思っているので、力を入れていきたいですね。また、お客さまから要望される「有機栽培」だけでなく、先ほどお話しした惣菜キットのように、「利便性」を付加した商品開発も行っています。自分たちが得意な農業を核に、そこから派生するさまざまな加工やサービスも取り組むべき範疇と捉えています。

――現在、200を超える商品を生産販売しています。新商品を開発する際の基準はどのように考えていますか。

【澤浦】ひとつはお客さんからの要望で、「こんな商品がほしい」という声がきっかけになることもあります。もうひとつは、自分たちからの提案です。「これはおいしいから、ぜひお客さんにも紹介したい」とか、「こんなのがあったら便利だな、自分たちもほしいな」という商品を世の中に出していく。つまり、これまでなかったものを提案する商品づくりです。

――自分たちのアイデアを世の中に提案して、ヒットした例があれば教えてください。

【澤浦】こんにゃくで言うと、手で丸めたこんにゃくです。グリンリーフが最初にこれを始めた頃は、生芋のこんにゃくはあまり世の中にありませんでした。農家でつくるこんにゃくはおいしい、と好評だったので、そのままのつくり方で世に出したら絶対に売れるだろうと思ったのがきっかけです。ただ、資金不足で四角い型が買えず、しょうがないから手で丸めようと。それがかえって注目され、ヒットしました。

漬け物では、「糖しぼり大根」という商品があります。有機栽培で育てた大根は、曲がったり割れていたりするものは捨てていましたが、当時パートだった社員が、捨てるのはもったいないと漬け物にして持ってきたんです。それをみんなで食べたら、とてもおいしかった。じゃあ漬け物もやろうか、と気軽な気持ちで始めました。

ところが、最初は店に置いておくだけではなかなか売れませんでした。食べてもらえればおいしさがわかってもらえて、きっとリピーターになってもらえる。確信はありましたが、それを伝える手段がなかったのです。ちょうど宅配のパルシステムさんでの取り扱いが決まり、カタログで商品の良さや背景などを説明したら、大ヒット商品になりました。いまは店頭での商品訴求に熱心なスーパーさんでも置いてもらっていて、店頭でも人気の商品です。