首都圏の人気大学の入試が厳しくなる

さらにランキングを見ると、首都圏の学校が強いことが分かる。早稲田大の一般入試合格者では、2016年は1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)からの合格者は73.9%を占めたが、2006年には62.7%で、この10年で10ポイントも上がっている。1都3県外からとなると、53位の愛知の旭丘になる。経済的な問題もあるが、地方の受験生が減っている。首都圏の人気大学である東大や慶應義塾大でも同じ傾向で、1都3県からの合格者数がやはり10ポイント以上アップしている。少子化は今後、ますます進んでいく。同じ地域からの入学者ばかりになると、レベルダウンすることは目に見えている。これは首都圏の人気大学の共通の悩みといっていい。

予備校の入試担当者は「受験生の地元大学進学志向は変わらず、経済的な問題もあって東京の大学に下宿させてまで通わせる地方の保護者は多くありません。子どもを手元に置いておきたいと考える保護者も多く、地元大学への進学を希望していると考えられます」という。

そういう状況から、早稲田大は2018年から、「新思考入試(北九州地域連携型推薦入試)」(仮称)を実施する。募集人員は最大10名で、3年間は西早稲田キャンパスの基幹理工学部で学び、4年からは北九州キャンパスで学び、大学院は同じキャンパスにある情報生産システム研究科に進学することになる。入学者は北九州地区を中心とした学校からの指定校推薦になるという。東京で学んで地元に帰って、さらに学ぶという教育連携プログラムだ。地方受験生に獲得に向けた新入試だ。

地方受験生が減っている一方で、増えているのが女子学生だ。バンカラのイメージが強かった早稲田大だが、今は女子学生が増えている。合格者ランキングを見ても、4位の女子学院、10位の豊島岡女子学園、26位の桜蔭、36位の吉祥女子など、女子校からの合格者も多い。昨年の合格者の32.7%が女子だった。およそ3人に1人の割合だ。

また、大都市圏の大手私立大は地方創生の一環として、入学者の定員に対する厳格化が進められている。従来は定員の1.2倍までの入学を認めていたが、これを2018年には段階的に1.1倍までにし、2019年には1.0倍にする。これは大都市圏の大学がたくさん学生を入学させることを抑制することで、地方の大学に受験生が進学するとの考えに基づいて実施される。

入学者を減らすことは、一般入試において発表する合格者が減ることを意味する。昨年の入試でも早稲田大は305人合格者を減らした。今年はさらに減らすと見られ、少子化にもかかわらず入試は厳しくなっている。首都圏の高校のある進路指導教諭は「今までなら合格していた生徒が不合格になった」と話すなど、影響が出ている。定員の厳格化で地方の大学への進学者が増えるとは思えないが、早稲田大をはじめとする首都圏の人気大学の入試が厳しくなることは間違いないようだ。