「景気はよくなる」「大改革の年になる」
波瀾の年といわれる酉年。東京証券取引所では4日の大発会で米国や中国の景気改善に対する期待感から全面高となり、日経平均株価は大幅反発、終値は前年末比479円79銭高の1万9594円16銭で、昨年末の終値を上回った。
大発会としては1996年以来の高値で、上げ幅も96年以来の大きさ。しかしその一方で1月20日にはアメリカ大統領にドナルト・トランプ氏が就任する。トランプ氏はこれまで極端な保護主義をとる可能性を示唆してきた。仮にそうなれば、日本経済は計り知れないダメージを受ける可能性がある。果たして財界人たちは2017年をどのような年だとみているのか。
2017年1月5日、東京・ホテルニューオータニで開かれた日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体の新年祝賀パーティー(参加者は約1900人)で主要企業のトップたちに話を聞いた。
昨年11月には業績と配当の見通しの上方修正をした大和ハウス工業の樋口武男会長兼CEOは今年も強気だ。
「一字で示せば、今年は“翔(しょう)”、羽ばたく年だと思っています。景気はよくなる。トランプリスクなんていわれているけれども、トランプ氏は選挙でいっていたことは変わってきている。大統領に就任したら、また変わる可能性がある。あんな過激なことはできないと思います。景気を極端に悪くしたり、よくしたりするようなことはない。しばらくはいい方向でいくでしょう。でないと長くもちませんから」
トランプ政権の動向次第だとみるのは経団連の名誉会長でキヤノン会長兼CEOの御手洗冨士夫氏だ。
「今年は今までに比べれば景気はいいだろうと思います。しかしいろいろ不透明なところもあります。トランプが20日に何を話すかによって変わってくるんじゃないでしょうか。トランプがこれまで主張してきたような極端な保護貿易が本当にできるのか、私は正直疑問ではあります。ただアメリカがカギになることは確かです」
4月1日に向けて東燃ゼネラルとの経営統合を控えているJXホールディングスの名誉顧問で日本経団連の審議員会議長を務めた渡文明氏は「大改革の年になる」と予言する。
「大改革の年になると思います。特にアメリカはそうした動きが強くなると思います。アメリカは保守が続くと、改革を求めるようになる。トランプ氏が大統領に選ばれたのもそうした動きからでしょう。トランプ大統領は20日の就任時の発表にもよりますが、いきなり大ナタを振るうようなことはせず、前半は慎重にいくと思います。経済にはフォローの風が吹いて順調にいくと思います」