学力重視・訓練型教育が声高に叫ばれる現代日本の教育界。明治の偉大な教育者、福沢諭吉の考えを基にいま日本が進みつつある教育のあり方に筆者は強い疑問を呈する。

なぜ福沢諭吉は革命的なのか

「多くの知識、速い計算」が現代における基礎<学力>である。それが足りないというわけで、いっそうの訓練型教育が必要と考えられている。これが教育の現状だ。その半面で、若者たちに、「学ぶ意欲」の低さや、社会において大事な素養である「相手のことを思いやる」力、あるいは同じことだが「状況を読み、状況に自分らしく対応する」力の喪失していることが気になる。教育への絶望もあるのかもしれない。これが、前々回の議論の趣旨だ。

今回はそうした底流に対抗する力はありうるのか、時代を変えて考えてみたい。

江戸時代も教育は盛んだった。当時世界でトップの識字率だったともいう。子供は、藩校や寺子屋で論語を諳んじ書を写し歌学を学んだ。だが、その時代には新しい文明の息吹は起こらなかった。その間、一歩も二歩も西欧に後れをとった。