富裕層は金銭に換算できないことを好む

我々は地位財の価値観の世界にどっぷり浸かっているため、身近な非地位財、例えば誰の指示も受けないで自分の暮らしを決めるという「自由」を満喫し、「自主性」を発揮できることをそれほど価値あるものとは思うことができません。しかし、視点を変えれば、この「自主性」こそがお金にはかえがたい意義のある非地位財であると気づくはずです。

非地位財の価値は、すぐに金銭に換算できないため外側から見ただけでは本当の価値をうかがい知ることはできません。元同僚が地位財の獲得よりも「自主性」に価値があると理解したからそう主張しているとしても、我々にはそれが「負け惜しみ」にしか聞こえない可能性もあります。

たとえばこんな例も考えられるかもしれません。

夜遅くまで残業して恋人にプレゼントを買うための高収入(地位財)を得る。それによって、恋人と過ごす時間(非地位財)がなくなってしまって、結局は破局する。

お相手である恋人は自分に対して地位財ではなく、非地位財を求めていたにもかかわらず、自分自身は地位財のほうが重要なように感じてしまい、大事なモノを失ってしまう。こんなケースは他にもたくさんありそうです。

金銭に換算することが難しい非地位財が地位財よりも大切だというのは直感では理解しにくく、地位財の追求をやめることは困難です。「お金は稼ぐよりも使うほうが難しい」といわれます。たいていの人は財を成すと地位財の追求に走ります。だからこそ、お金の哲学が必要とされるのです。

非地位財というものは世の中の財の中では希少で、その価値を見極めにくい特徴があります。また、非地位財は、地位財とは異なり新たに追加生産することもできません。ですから自分にとってそれは非地位財かどうか、という点を強く意識して、限りある財の配分を行う必要があります。休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境などは地位財に替え難いものだと深く理解する必要があります。

繰り返しますが、非地位財に対してお金を配分していくこと。そのことが不毛な競争的消費に巻き込まれないことにつながり、結果的に資産形成への確かなステップとなるのではないでしょうか。

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