映像を交え、文章は基本構造に則す

演説が、自分の考えを話し、自分自身をさらすものであるのに対し、プレゼンは自分自身ではない、モノやアイデアを紹介します。

TEDカンファレンスのプレゼンは動画アーカイブで視聴することができますが、話し方、動作、映像の使い方など、プレゼンに必要なあらゆる情報が得られ、非常に参考になります。

蔭山洋介●コムニス代表。企業経営者や政治家、講師などに向け、講演、スピーチ、プレゼン指導やブランド戦略のサポートにあたる。著書に『スピーチライター 言葉で世界を変える仕事』『パブリックスピーキング』がある。

そのなかでも私のイチ押しが、デレク氏のプレゼンです。3分少々で社会運動が起こる理由を、フォロワーの重要性に特化して説明しています。

まずはぜひ、彼の自信に満ちた話し方――声のトーン、間の取り方をご覧いただき、何度も声に出して、身振り手振りまで真似てみてください。

プレゼンの基本構成は、先に事実を話し、スピーカーと聴衆が共通認識に立つことです。このプレゼンでも、最初に「3分間で」と伝え、映像を使いながらテンポよく事実を話し、盛り上げていきます。その後に意見を述べるわけですが、そこはもう解説になるので、話し方も収束に向かいます。原稿の構成がプレゼンの原理原則に立っているからこそ、彼のウィットに富んだ話術が活き、聴衆を笑いの渦へ引き込み、好意を引き出すのです。

(野崎稚恵=構成、翻訳 葛西亜理沙=撮影 写真=アフロ)
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