相談件数急増で多忙な児童相談所

ただ、素人考えで躾と判断して放置するのはリスクが高い。わが子の安全を最優先すれば、疑わしい段階でも何らかの対応をすべきだろう。

具体的にどう動けばいいのか。真っ先に思いつくのは、児童相談所への通報だ。虐待が認められれば一時保護等の措置を取ってくれる。しかし、必ずしも児童相談所が即座に動いてくれるとは限らない。

「いまは相談件数が増えて、対応する児童福祉司の数が圧倒的に足りない状況です」

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児童虐待相談件数の推移

児童相談所への児童虐待相談件数は昨年度、10万件を突破し過去最高となった。多忙な児童相談所に迅速に動いてもらいたければ、虐待の証拠を示すなどの準備が必要だ。

たとえば子供は回復が早く、多少の傷ならすぐ癒える可能性がある。外傷に気づいたら、その場で撮影して写真に残したほうがいい。また、子供の話す内容をスマホで録音するのも効果的。専門家が聞き取り調査をする「司法面接」で証拠を残す方法もある。

また、自治体が独自に設けている「子供家庭支援センター」「家庭児童相談室」などの窓口に相談するのもいい。これらの窓口に継続的に相談した記録が証拠となって、虐待と認定されることもある。

一方で注意したいのは、加害親への対応だ。

「加害親に虐待を指摘すると、相手は態度を硬化させるおそれがあります。その結果、子供との面会交流を打ち切られて、虐待がさらに悪化することも考えられる。子供との接触が途切れないように、適切なタイミングで対処してください」

(図版作成=大橋昭一)
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