次に世の中を変えるイノベーションとは

戦後は、高度成長期とバブル期という2回の長期上昇相場を経験した。高度成長期の相場は45年から60年までの15年間、バブル相場は75年から90年までの15年間である。戦後における最大の停滞期は、つい最近まで継続していた長期デフレであり、まさに今、そこから脱却できるのかが試されている。

写真=getty images

これらのトレンドを観察すると、長期の株価上昇が継続する時間はおおよそ決まっているようである。上昇相場は20年程度(明治期のように20年の相場が2回連続することもある)、停滞期は15年から20年ほど続く。現在のデフレ経済は、バブル期のピークだった89年を起点にするとすでに26年が経過している。これは歴史的に見ても、異常に長い停滞期間といってよく、素直に考えれば日本経済はインフレへの歴史的転換期に差し掛かっていると判断できる。もしそれが事実なら、今後10年から20年間は資産価格の大幅な上昇が継続するはずである。

経済の長期的トレンドを変化させる要因は様々だが、イノベーションが大きな役割を果たしているのはほぼ間違いない。トレンドが大きく変化するときには、画期的なテクノロジーが経済を牽引し、株価上昇の原動力となっているケースが多い。

古くは100年以上前に日本や英国で見られた鉄道株ブーム、20年代の米国や60年代の日本で見られた自動車株ブーム、最近では2000年のIT株ブームなどがあるが、いずれも新しいテクノロジーが経済の牽引役となっている。

新しいテクノロジーの登場は、しばしばバブル的な株価上昇を引き起こすことになるが、その理由は、イノベーションによって従来とは比較にならない大きな利益が期待できるからである。

例えば、フェイスブックのようなSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、従来存在しなかったサービスであり、全世界すべての人が潜在顧客となる。しかも、こうしたサービスは多くの人が使えば使うほど、利用価値が高まるという特徴がある。