過去にもあったバブルやデフレ
もっとも、経済成長や株価の上昇は一直線に実現するわけではない。株価については、上昇率の平均が年7%になるだけであって、実際の値動きを見るとかなりのブレが存在する。日本の資本市場は130年の間に10回のバブル相場や4回の戦争、2回の大規模デフレを経験している。もしバブル的な相場の頂点で株や不動産を買ってしまったら、10年以上の時間をかけて、その損失を取り戻さなければならない。逆に、長期的な変動の底値で資産を購入することができれば、資産拡大のペースは年十数%をはるかに超えるだろう。長期的なスパンで資産形成を考えるなら、長期トレンドの変化をどう見極めるのかがカギとなるのだ。
長期的な経済の拡大期と停滞期、それに伴う株式市場の上昇と低迷は、基本的に交互にやってくる。戦前から通算すると、日本の株式市場はこれまで3回の大きな上昇と3回の長期停滞を経験している。
最初の大相場は明治から大正にかけての40年間である。当時は、日本の近代化がスタートしたばかりであり、まさに新興国と呼ぶべき状況であった。日清戦争・日露戦争という大きな戦争を経験したこともあって、株価の上下変動は激しかったが、トータルすると年平均で10%も株価が上昇した。大正時代には、1980年代と非常に似通ったバブル経済も経験しており、当時の日本国民は過剰消費を謳歌した。だが、それも世界恐慌によってあっけなく終わり、その後、日本は無謀な戦争に突入、敗戦を迎えるまでのほぼ20年にわたる長期停滞を経験した。この間、莫大な戦費をすべて国債で調達したことによる財政破綻と、準ハイパーインフレが発生している。