経済の動きを長期的なスパンで分析する際、押さえておくべきポイントは2つある。一つは、現代経済というものは、基本的に成長が宿命付けられているという点。もう一つは、経済は一直線には成長しないという点である。

日本の資本市場の歴史は古く、明治時代にはすでに本格的な株式市場が整備されていた。過去130年で日本の株価は8000倍以上になっており、年率換算すると約7%になる。戦後だけをとっても平均すると毎年6%のリターンがある。まずはこの事実をしっかりと頭に入れておく必要があるだろう。長期的なスパンで株式に投資をすれば、何もしなくても年6%から7%の収益を得ることが可能なのだ。

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あくまでこれは過去のリターンを示したもので、将来の利回りを保証するものではない。だが筆者は、今後も同様に、株式相場は長期的な上昇を続ける可能性が高いと考える。その理由は、現代の資本主義社会において、成長は半ば宿命付けられたものだからである。

企業というのは、事業を行いそこから利益を上げることを目的とした組織である。事業を行うためには資金が必要であり、企業は投資家から株式という形で経営権と引き換えに資金の提供を受けることになる。企業は最悪の場合、倒産するリスクがあり、企業に無担保で資金を提供する株主は、銀行に預けるよりもはるかに高いリターンがなければ納得しない。このため、企業の経営者には、利益の中から毎年の配当金を株主に対して支払うだけでなく、事業を継続的に成長させ、株式の価値そのものを上げていくことが強く求められることになる(資本コスト)。

資金が必要であれば銀行から借りるという方法もあるが、銀行はあくまで「金貸し」が商売である。銀行は貸したお金の元本回収と金利の徴収が仕事なので、高いリスクを取ることができない。したがって、企業が必要とするリスクの高い資金は株式市場から調達せざるをえなくなる。

企業が継続的な利益成長を実現できなければ、企業に投資する投資家はいなくなってしまうため、結果として株式投資の期待リターンは、常に預金の金利よりも高い水準で推移することになる。これが株価上昇の原動力である。