「書く」行為はなぜなくならないのか

人は実体のないものを扱うことを苦手とします。頭の中をめぐるアイデアや言葉を正しく捉えることはなかなか難しいでしょう。ではどうすればいいかというと、実体のないものに形を与えてあげればいい。そのためにノートは効果を発揮するツールです。形のない仕事であっても、ノートに書き出した途端に扱いやすいものになるはずです。

[選者]文具王 高畑正幸氏●1974年生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」全国文房具通選手権にて3連続で優勝し、「文具王」の座に就く。サンスター文具にて10年間の商品企画を経て、マーケティング部に所属。2012年に同社を退社後、独立。

内容に形を与えるだけでなく、一つの「物」としてノートが存在すること自体も、デジタルにない強みとなります。考えてみれば、デジタル上のデータは複数の情報を引っ張ってきて、限られた画面の中で交互に見なければなりません。一方で、ノートは2つあったとしても、机に並べればゆったりと眺めることができる。これはデジタル上に置き換えれば「情報専用の表示装置」を持っているということ。実は贅沢な使い方ですよね。

物として存在するメリットはそのほかにもたくさんあります。

たとえば検索性。デジタルではデータを保管していても、検索キーワードを覚えていなければ、そのデータを取り出すことさえできない。もっといえば画面の向こう側にデータが行ってしまうので、存在自体が遠くなり、忘れ去られてしまう。その点、ノートは真近に目にすることができるので、仮に忘れても思い出すことができる。また、「あのノートのあそこに書いてあった」とキーワード以外の記憶から、検索することもできます。物を通した体験として記憶に残るのです。

仕事効率を高めるのはITだけではありません。アナログのノートを使うことで解決できることもたくさんあるんです。

【持ち運びラクラク】

プラス●カ.クリエプレミアムクロスA4×1/3サイズ(215×105×6.5mm)
A4×1/3のサイズで人気を誇る「カ.クリエシリーズ」の高級ライン。万年筆のインクが滲まない中紙と、耐久性のある「紙クロス」の表紙を使用。メーカーのホームページからカ.クリエのサイズにピッタリの「TO DOリスト」や「カレンダー」の各種フォーマットをダウンロードできる。

【情報を守る

リサーチラボノート(A4)●(写真右・エントリーモデル)(写真左・スタンダードタイプ)その他種類あり
「STAP細胞」をめぐる報道で注目された記録用ノート。いつ誰によって発明が生まれたかを証明するために、理系の学生や研究職の方を中心に使用される。ページには第三者が印鑑を押す欄があるので、法的な証拠となる記録を残す際にも使える。