【安倍】毎日いろいろな予定が入っていて、主人より帰宅が遅いぐらい(笑)。それでも、主人はイヤな顔ひとつせず、好きなようにさせてくれるんです。
【佐藤】いいご主人ですよね。
【安倍】もっとも、私は、政治家の妻らしく振る舞うことで精いっぱいでした。特に2006年、主人が最初に総理大臣になってからの1年間は、「総理夫人らしく」と自分で自分を型にはめていたんです。考え方が変わったのは、翌年、主人が総理の職を辞して「総理夫人」という型がなくなったとき。50歳からの人生に向けて、一人の女性、安倍昭恵として私らしく生きようと心に決めたんです。
【佐藤】ご主人が総理大臣を退任した後、大学院に入ったんですよね?
【安倍】ちゃんと受験勉強をして、立教大学の大学院に入りました。学生に戻ってみて、自分がいかに勉強してこなかったかを痛感しました。それまでは、新聞を読んだり、テレビのニュースを見て、わかった気になって、受け売りの意見を口にしていた。大学院ではみんなで議論をする機会がたびたびあって、きちんと調べたことを、一旦、自分のなかに落とし込み、自分としての考えを口にしなくてはいけないと感じるようになりましたね。
【佐藤】現在のさまざまな活動を通じて、また感じることが変わったり?
【安倍】活動を通じて改めて痛感したのは、世の中にはお金がないとできないことが多いということ。特に、最近は社会のために熱心に活動する若者との付き合いが増えていて。そういう人たちって大抵、資金不足で困っているんですよね。そういう人たちにどうやってお金が回るようにするかを考えているところです。
【佐藤】確かに昭恵さんから紹介される方たちって、身銭を切って地域活動に取り組んでいるような人が多いかも。