【安倍】今は物が売れない時代と言われているけれど、それはみんなが欲しいと思う物を作ってないだけなんだなと強く感じましたね。昔ながらの見せ方や売り方で「これが伝統だから買ってください」というだけでは魅力は伝わらない。「おもしろそう」「かわいいな」というところから関心を持ってもらえたら、技術など本来的なところにも目が向くようになります。

【佐藤】そのとおり。地場産業の商品って女の人が興味を持つ物が多いんですね。それなのに、ほとんどが男性の目線で商品企画がされている。女子の感覚を入れたほうが絶対にウケます。

(上)ダイハツ工業から発売されたピンク色の軽トラックの発表会イベントでの昭恵夫人(右から3番目)。(時事通信社=写真)(下)直径約4cmの白河だるま。眼鏡のパッケージで、3万5000個が商業施設「ルミネ」のノベルティに使われた。

【安倍】女子の感覚って大事ですよね。私は山口県下関市で「昭恵米」という無農薬のお米を作っていて、「女性未来農業創造研究会」にも顔を出させてもらっているんですが、最近は農業女子がメーカーとコラボして商品開発するケースも増えています。たとえば、農作物を運ぶ軽トラックの色は白ばかりですが、ピンクやブルーなどカラーバリエーションをつけたら、その途端に売れたんですよ。作業着もおしゃれなデザインにして、小物入れをつけたり、UVカットの布地を使ったり。ちょっとした工夫が女性には嬉しいんですよね。

飲みニケーションは推進すべきか?

【佐藤】そういう感覚を理解できるところが昭恵さんの素晴らしさですよね。いろいろなことにアンテナを張っていて、自分のフィルターを通して発信していて、それが新鮮で面白い。いつも目利きだなぁと思っているんです。

【安倍】そんなことないですよ。家の中はヘンなものだらけ(笑)。儲けるのもうまくない。2012年、都内に居酒屋「UZU」を開きましたが、なんとか赤字にならずに済んでいる状態で。

【佐藤】こだわりがある分、原価にすごくお金がかかっているとか?

【安倍】うーん、確かに有機無農薬の野菜など安全・安心な食材は使っているけれど、儲からないのはもっと根本的なところに原因があるような。

【佐藤】でも、ファーストレディである昭恵さんが、居酒屋を経営して、原価や利益を考えているってこと自体驚きですよ。ほかにも、自ら実践しながら日本の農業の未来を考えたり、女性の社会進出を支援する「UZUの学校」を開いたり。ミャンマーの学校支援、地域振興を応援する活動など、昭恵さんの活動は挙げだしたらキリがない。