【安倍】お酒が入ると自分の殻が外れて、誰とでも仲良くなれるし、自分の本当の思いが言えたりする。だから、しらふでもその状態にあるのを目標にしてるけれど、まだそこまでは(笑)。お酒を飲む場はあっていいと思います。飲んで荒れる人は苦手ですけど、昼間の会議では言いにくいことがすんなり口にできるという点ではいいかなと思いますね。話したことを次の日、忘れていたりはしますが。

【佐藤】すごい忘れっぷりですから(笑)。

【安倍】でも、潜在意識には残っているはずなので、それでよしとする(笑)。酔っ払って忘れても、それが私だし。

【佐藤】うちの社長は60代なんですが、自由な発想を持っていて「女性社員をうまく使えなかったら会社は伸びない」と30年ぐらい前から言っています。だから、私は好きなように仕事をさせてもらっていますね。

【安倍】いい社長さんよね。

【佐藤】私たちより上の世代の女性は、男の人と戦ってきたじゃないですか。男の人以上にガツガツ働いて、女の社会進出を認めろと声高に叫んで。今はもうそうじゃないんですよね。これは私のオリジナルの考えなんですが、そもそも男には男脳、女には女脳があって、仕事においては役割が違う。大きいことを決めるのが得意なのは男脳で、細部の判断に長けているのは女脳だと思うんです。先ほどの伝統工芸や地場産業に「かわいい」の要素を入れる発想は、女脳によるもので。時代によって求められる脳は変わって、今は女脳や、男脳と女脳の中間であるバイセクシャルな脳を上手に使ったほうがいい時代だと思います。

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【安倍】面白い考え方ですよね。

【佐藤】もちろん、男女の考えの違いでぶつかることも多々あります。そのときも、私は男の人と戦わない。立てるか、あるいは転がすか(笑)。

【安倍】美加さんは年下の男性の扱い方が本当に上手よね。部下の男性たちが喜んで働いている印象がある。

【佐藤】男性とうまく渡り合うには、地雷を踏まないこと。男性は女性よりもプライドが高いので、相手のプライドを傷つけることだけは言わないとか。もっとも、対応で気を使うのは、むしろ女子のほう。女子はちょっと気にくわないことがあると、ピリピリして関係が悪くなりやすい。私は社長から役員の打診をされたときに、「私は皆の手本にはなれないから、もし、下から批判があっても社長が吸収して、相手を納得させてくれ」って言いました。役員になってから、批判めいたことを言われたことはないですね。もし言われても、気にしませんけどね。特に会社の人間関係は単純で、評価は仕事で決まりますから。仕事ができる人が勝ちですよね。その一方で、600人の従業員が幸せを感じて、報酬ももらえる。そんな社会をつくることを、真剣に考えています。