「ブランド名」「味」消費者はどっちを選ぶ?
このような問題を抱える日本企業はヤマザキビスケットだけではない。赤いマフラーを巻いた「カバくん」のキャラクターでお馴染みの明治のうがい薬「イソジン」も16年3月にライセンス契約が終了。「イソジン」という商品名が使えなくなった。
うがい薬シェアの4割強を占め、「50年以上うがい文化を培ってきた」と自負する明治。このことを裏付けするように、30年以上うがい薬のキャラクターとして活躍してきた「カバくん」の認知度は、同社のネット調査によると90%以上。それでも前年並みの売り上げ目標を維持するために、「カバくん」を広告塔に例年の4倍ものプロモーション費をかける予定だ。
ヤマザキビスケットに朗報なのが、京都の食品メーカー・創味食品の中華調味料「創味シャンタンDX」の例である。この商品は同社が1961年に業務用として発売。81年には同社のOEM生産により、神戸の食品卸売業・廣記商行が家庭用を「味覇」として発売した。ところが2014年に両社が対立。創味食品は廣記商行へのOEM供給を停止し、自社で家庭用を「創味シャンタンDX」として売り出した。
つまり、廣記商行はブランド名「味覇」を名乗りながらも製造元を変え、創味食品は「創味シャンタンDX」と商品名を変えながらも、同じ味を維持した。この勝負、いまのところ「創味シャンタンDX」に軍配が上がっているという。消費者は「ブランド名」ではなく「同じ味」を選んだのだ。この流れが「リッツ」「オレオ」の商品名を名乗れないヤマザキビスケットにも起これば、“勝算あり”といってもいいだろう。