年収1000万円以上のビジネスエリートに「好きな著者」を聞いたところ、カーネギーやドラッカーを凌いで、なんと司馬遼太郎が堂々の1位に輝いた。彼らはなぜ経営書ではなく司馬遼太郎作品を読むのだろうか。

かつて司馬遼太郎は、住んでいた大阪の街を「顔を上げて出歩けなかった」と語っていたと聞く。自分が納得する小説のため、全力投球で執筆に専念していた彼は、その結果あらゆる義理を欠いた生活を送っていたのである。

何事かをなすとき、「すべてを犠牲にしてでもやり遂げる!」という「志の高さ」は必要である。おそらく、司馬作品に登場する人物の「志」の高さは、作者本人の人生への姿勢が投影されているのだろう。なにしろ司馬遼太郎というペンネーム自体、『史記』を著した中国の司馬遷を意識してのものなのだから、その「志」の高さが推察できる。

(構成=三浦愛美 撮影=若杉憲司)