【白河】その確信って、女子大生が「私は絶対に養ってくれる人と結婚できる」と思っているのとちょっと似ていますね。

【中野】本書の15人に関しては、基本的に両立希望なんですよね。中には就活で企業を戦略的に選んでいる人もいるけど、多くは、特に「両立」というものがかなり工夫して選び取っていかないと実現できないことだとは思ってない。

【白河】当たり前と思っていたのに、本書で取り上げられている15人はさまざまな挫折を経験しています。すっぱり退職して子育てに専念する人、退職予備軍。むしろ「女性であること」を受け入れ「マミートラックでもいい」と競争から降りたり、もともと競争に興味がない人が残る。「やりがい」がある職場を手に入れ、「男並み」に仕事に意欲を燃やしてきた人ほど、「やりがいの喪失」によって出産後仕事を手放すという皮肉な結果が明らかになっていますね。

【中野】ワーキングマザーの現実を見るまで、あるいは自分がなってみるまで、こんなハンディがあるとは思ってもいなかったわけです。学生時代はロールモデルもいないし、見ないようにしていた面もあるかもしれません。ここ2、3年はかなり変わってきた感覚があります。よくも悪くも情報が多く、東大女子も「両立が不安」と口にするようになりましたね。