「マッチョ社会」という問題
【白河】この本を出してマッチョな競争を強いる社会に対して、何が伝わって、何が伝わらなかったと思いますか?
【中野】まず第1段階として「モヤモヤ」、つまり意欲が高いからこそ子育て期にパワーダウンしてゆっくり働くということをしたくない私たちのジレンマを言語化して知ってほしかった。同世代で同じようなクラスターの女性には思った以上に伝わったし、賛同も得られたと思っています。
【白河】みんなも自分のモヤモヤが可視化されてすっきりしたんでしょうね。
【中野】第2段階として、女性活用がうまくいかないのは、女性の意識や個人の選択の問題ではなく「構造問題」であると言いたかった。その構造を作り出しているのはマッチョな企業社会であり、既存社会に適応させるような形での競争をあおる教育システムです。これは当事者というよりも経営層や政策決定者に伝えたかった。研究して論文を書いている間に安倍政権が女性活躍推進を打ち出し、結果的にはこのあたりの意識が変わる追い風は吹いていると思います。