一方、増田県政3期目と被る03年度から07年度の岩手県内での年齢階級別死亡数を見ると、60代以上の高齢自殺者数よりも40~50代までの現役世代の自殺者数が大勢を占めていたことがわかる。

04年9月に議会で行われた県内の自殺状況に関する議員の質疑に対し、増田氏は岩手県の自殺の特徴として「働き盛りの自殺割合が多いこと」「経済・生活問題が深刻化していること」を認めている。増田氏はメンタルケアの重要性も同時に主張したが、05年12月の議会では別の議員から「自殺の原因はメンタルケアの良しあしではなく、深刻な雇用状況・産業全体の低迷にあることは明らか」と厳しい追及を受けている。

東京都知事選挙公示日前の共同記者会見で増田氏は記者に岩手県知事時代のファーストクラスの利用を認めたが、問題はないと主張した。その後、同選挙期間中に「ファーストクラス利用は適正なルールに基づいていた」という趣旨の文章も発表している。

しかし、実際には01年の12月議会で自民党議員から「不況の時代にファーストクラスに乗るのは来年度からやめてほしい」と懇願されたものの、それに対して増田氏は直接答弁せず、人事課長の「現行の制度で運用してまいりたい」という官僚答弁で冷酷に切り捨てた。その後、朝日新聞(09年12月22日)では税金でファーストクラスを使う外務省やJICAの職員を批判している。

増田氏は責任を取って退職金を返上するように議場で迫られたが、通算3回目の巨額の退職金を受け取り、後任者である達増知事に問題を丸投げして県庁を去った。

なぜ、この人が「出たい人より出したい人」なのか。石原伸晃自民党都連会長は、都民に明確な理由の説明を行うべきだ。

本稿で指摘した事実に関し、増田事務所に質問をしたが、期限までに回答はなかった。

【関連記事】
票読み最新版! 東京都知事の椅子に最も近い候補者は誰か?
都知事選まであと数日!期日前投票に“異変”発生
地方創生の切り札は「よそ者」「馬鹿者」そして「若者」――増田寛也氏インタビュー
最終決戦!「都知事候補たちのセールスポイント」
鳥越俊太郎、都知事選唯一の公約「がん検診100%」に医者がNO