GPIF運用転換の年初にも接触

ソロス氏は13年にアベノミクスの量的緩和による円安で1000億円超の利益を得、自ら創始したヘッジファンド「クォンタム・ファンド」も6000億円にも届きそうなヘッジファンド史上最高額の利益を上げたと報じられているが、今年は年初から「世界経済は危機の入り口にいる」「リーマン・ショックを思い出す」などと発言、注目を集めていた。5月の伊勢志摩サミットで安倍首相が「世界経済はリーマン・ショック前に似た状況」と発言し批判を浴びているが、同じ認識を持っていたのは安倍氏だけではなかったようだ。

5月に市場への現役復帰が伝えられたソロス氏は、英国のEU離脱を決定づけた投票日の翌日(6月24日)に、自ら所有するドイツ銀行株の空売りを手掛けていたことが報じられた。周知のように、空売りは株価下落に乗じて儲ける手法。仮に同日最高値のタイミングで売り出していたのであれば、今回も一挙に百十数億円を得た計算になる。

安倍首相と、ダボス会議の常連といっていいソロス氏との会談は、実は今年1月だけではない。GPIFの運用転換が実施された2014年にも、1月のダボス会議で安倍首相はソロス氏と面談しているのである。株投資50%への拡張の舵切りが同年10月末。前述のとおり同年春先までにそれが起案され、準備が始まっていたとしたら、両名の密談内容が気になるところだ。相手は、持ち前の政治力を駆使して世界的なニュースと連動するかのごとく動く超大物投資家である。一国の首相が安易に近づいてよいものか、大いに疑問が残るところだ。

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