備えとして、一度はチャレンジしてみては?

筆者個人の意見としては、ぜひ一度はWindows 10へのアップグレードを試してみて欲しいと思います。何より期限内は無料ですし、好むと好まざるに関わらず、IT技術を日々の生活で利用する以上、自分の保有している端末がどういった状況にあるのか、どう進化していくのか、最低限体験しておいたほうが今後のためになると考えるからです。31日以内であれば元のOSへ戻せること、システム動作要件が(少なくとも現時点では)Windows 7と8と10でまったく同一であることも重要です。

「今はともかく、半年後くらいにはWindows 10を本格的に使いたい」という人は、7月29日の無償期間終了までに一度アップグレードを済ませ、すぐさま旧OSへ戻す手段も有効です。オンラインでのライセンス認証時に、Windows 10へのアップグレード実行歴がクラウド側に保存されるため、以後は同じWindows端末を使う限り、いつでも好きな時にWindows 10へアップグレードできます。もちろん、料金はかかりません。

もちろん、アップグレードの際にバックアップをとっておくことだけはお忘れなく。アップグレード云々に関わらず、PCを利用する上でバックアップは日々重要です。外付けハードディスクを使うのが無難ですが、書類中心の利用であれば、64GB程度のUSBメモリでも足りるかもしれません。

また、Windows 10へのアップグレードに関する情報をまとめた特設サイトがすでに公開されています。疑問点などはここで確認しておきましょう。ちなみに、Windows 10無償アップグレードに関する通知を非表示にするための設定も載っています。

Windows 10 アップグレードガイド(Microsoft atLife)
https://www.microsoft.com/ja-jp/atlife/article/windows10/guide/default.aspx

また、無償アップグレード期限の終了直前は、電話サポート窓口の混雑も予想されます。「期限終了までに、インストール作業に加え、オンラインでのライセンス認証も必ず済ませてください。7月29日の何時に期限が来るかは公表していませんので、できれば日本時間の7月28日中にアップグレードを完了させるのがオススメです」(藤原さん)

なお、無償アップグレード期間の終了後、マイクロソフトがWindwos 10のアップグレード版を有償で販売する計画はないとしています。このため、期間終了後にWindows 10へアップグレードしたい場合は、現在販売されているWindows 10の通常パッケージ版を購入する必要があります。ちなみ、価格はWindows 10 Homeが1万7800円、同Proが2万5800円です(税別、いずれも参考価格)。この位のお金を出すとなると、8インチ画面・容量32GBの小型Windowsタブレットが十分買えてしまいます。8月以降は、アップグレードよりも買い替えを検討したほうが良いかも……?

今回の“強制アップデート騒ぎ”で、マイクロソフトは確実に損をしました。ただ、起こった事象の1つ1つをつぶさに観察すると、ボタンの掛け違いというか、良かれと思ってやったことが100%裏目に出たという、不幸な事態とも感じます。

その一方で、7月1日にはアップグレード通知の見直しを実施するなど、ユーザーの声を素直に受け入れる度量も見せました。Windowsはもはや“社会インフラ化”しており、そのちょっとした仕様変更が驚くほど多くのユーザー・企業に影響を与えます。今回の一件を教訓として、マイクロソフトには今後もぜひ慎重な対応を期待します。

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