舛添おろしの可能性は「百条委員会」と「不信任決議」
これは、舛添知事が2回目の会見で繰り返した「第三者で専門家」集団からの、いわば“クロ認定”である。結果は法廷の審理に委ねざるを得ないわけだが、そもそも、妻が代表を務める「株式会社舛添政治経済研究所」に複数の団体を経由してカネを還流させるという、限りなく違法に近い手口もすでに明らかとなっている。
意図的にリレーされたカネは、いうまでもなく「税金」だ。税金を迂回還流させる目的でいくつものトンネル団体を配置したことは明らかであり、違法操作の疑惑は拭いがたい。その「公金“横領”疑惑」は現在進行形でさらに際限なく露呈しつつあるため、舛添氏の政治生命は、今や「風前の灯」だ。いずれはケジメがつけられるに違いない。
実際、3回目の会見で舛添知事は、迂闊にも次のような答弁を洩らし、「クロ認定」を自ら招き寄せている。
「疑惑は沢山出ている。だから100個出たら100個全部クロである、というふうなことではない。これは全く誤解だというのは、ある」
つまり、100のうち99がクロという可能性もあり得る、ということだ。
一 方、舛添知事を「リコールせよ」との世論に対して、「それは時間不足で困難」という解説が散見される。都知事のリコールに必要な有権者の署名数は5月26 日現在で146万7304筆以上だが、そもそもリコール署名活動は7月下旬の参院選から逆算すれば5月26日以降は地方自治法施行令に基づく禁止期間に入っている。つまり「時限的に無理」なのではなく、リコール活動自体ができない期間に突入してしまったのである。
そのため、自ら辞任しそうにない都知事に業を煮やして「舛添おろし」を望む都民に残された可能性は、「百条委員会」と「不信任決議」のみというわけだ。
その有無を決める東京都議会は6月1日から開かれる。舛添問題で夏場までに自民党の責任追及がなされなければ、知事として操りやすいと考える与党は動かず、 舛添知事は延命。逆に、自民党の責任が厳しく報じられれば、参院選に影響が出るため遅くとも6月中には「舛添切り」をしておかねば本体の政権与党が大きな 痛手を食らう。
したがって、百条委員会設置か知事不信任が出るとしたら6月初旬~中旬にかけて、ということだ。その去就は都知事選で担いだ都議会与党=自民党の肚ひとつということになる。
但し、仮に舛添知事の罪が確定して罰則が科されたとしても、根っこにある問題は解決しない。政治とメディアという巨大権力機構が孕む2つの根深い病態に、何の手当も施されていないからである。