AIの進化で人間の役割が「シフト」してく

AIとウェブの進化が進む。これを受けとめる新しい事業のあり方、そして働き方や生き方についての議論が続く。

ゲームは、人工知能(AI)が大きな成功をおさめている分野のひとつだ。今年3月には、グーグルが開発したAI「アルファ碁」が、世界のトップ棋士との対局で4勝1敗と勝ち越し、ニュースとなった。ゲームにとどまらない。車の自動運転でも実用化が進む。長崎県のハウステンボスの「変なホテル」など、フロントでのチェックインを、バイリンガルのロボットに任せるようなホテルも登場している。

こうした進化が進めば、多くの職種がAIに取って代わられていくことが予想される。ウェブの行き渡った現代では、この代替が広まる速度は一段と高まる。とはいえ、AIとウェブの進化によってすべての人間が仕事を失うわけではない。20世紀の産業革命もそうだった。人間の役割がなくなるのではなく、「シフト」していくと見るのが妥当だろう。

教育ビジネスの分野でも、同様の動きが見られる。AIとウェブの活用が広がるなかで、教室での講師の役割のシフトが進んでいる。「スタディサプリ」(https://studysapuri.jp/)は、リクルートが2011年に開始した、ウェブ配信の教育サービス事業である。当初の大学受験講座と高校講座(旧「受験サプリ」)から、中学講座、小学講座、さらには英語学習へと事業が広がる。2015年には有料会員が累計25万人を突破するなど、成長が続く。

「スタディサプリ」の料金は、月々980円。受講生は、パソコンやタブレット、あるいはスマホなどからアクセスし、ウェブ配信されるビデオ講義で学習する。「スタディサプリ」の高校講座・大学受験講座には、3000ほどの講義が用意されている。教えるのは、トップ予備校などの教壇に立ってきた有名講師たちである。